2001年 日本穀物科学研究会例会
第107回例会
 2001年9月21日(金) 13時30分より大阪府泉佐野市住吉町1−1 不二製油株式会社 阪南事業所にて開催されました。 
内容 不二製油株式会社 阪南工場 工場見学
講演 1.松下雪郎 (京都大学名誉教授)
       縄文の美味 「カヤの実」
 カヤはイチイ科に属する常緑高木で、温帯から暖帯にかけて広く分布すると記載されていますが、近年その数は減り、珍しくなりつつあります。それは材が美しく、水や湿気に強く、細工物に使われ、ことにカヤの碁盤は有名ですが、ために伐採されてきたのです。しかしその実は縄文時代、大和では一番たくさん食べられたもののようで、橿原の考古学博物館に展示があります。その後もカヤの油は大変旨いとも言い伝えられてきました。今ではカヤの実は縁起物として、祝いや行事に使われるだけです。
 カヤの実は脂肪分があって、独特の風味があります。秋の彼岸頃に落ちたカヤの実をひねると種子が飛び出します。灰汁に浸け、乾燥し、煎って種皮を割り、出てきた実の渋皮を爪でしごいて、蜂の子のような胚乳の部分を食べます。これが旨いのです。飽きない味です。
 成分は、タンパク質8%、脂質55%、糖質20% 前後で、脂質含量が高い特徴があります。また、その脂肪酸が最近研究され、オレイン酸30%、リノール酸50%、エイコサトリエン酸10% 前後の値を示します。ことにエイコサトリエン酸は普通の不飽和脂肪酸とは異なり、非メチレン中断型不飽和脂肪酸に属するもので、動物細胞のリン脂質中のアラキドン酸と置き換わる性質があります。エイコサペンタエン酸がアラキドン酸と置き換わることはよくしられたところですが、この脂肪酸の生理作用もどのように発展するのか興味のあるところです。 
松下雪郎 氏  
2.不二製油梶@新素材研究所 釘宮 渉
             大豆と健康
 本研究会では、大豆の歴史、大豆の生産事情、弊社の大豆事業の取り組み、および最近明らかにされてきた大豆の栄養生理機能などについて述べたい。
 大豆はツルマメを原型として発達し中国原産の植物である。日本には約2000年前に朝鮮半島を経て伝来したと推定されている。東アジアの各地には、大豆を利用して、納豆・味噌・醤油(日本)、テンペ(インドネシア)、キネマ(ネパール)、トウアナオ(タイ)などの大豆発酵食品が生まれ、地域独特の食文化圏を形成している。大豆には良質なたん白質、脂質を多く含み、ビタミン、ミネラルなどの微量成分にも富んでいる。こうした大豆発酵食品は古くから人々の健康維持に役立ってきたと考えられる。
 大豆は今や全世界で生産され、昨年の生産量は約1億6000万トンに及んでいる。1990年の生産量は1億トンであり、この10年間で生産量は約1.6倍も増加している。そのうち、食用にはわずか10%程が利用されているにすぎず、大部分は搾油され、油脂およびミールとして飼料用に利用される。今後の世界的な食料問題を考えると、脱脂大豆の食品への利用は重要な課題である。
 最近、大豆の栄養生理機能について次のような効果がわかってきた。
 @ 血中コレステロールを低下させる作用がある。
 A 心臓病のリスクを低減させる。
 B 骨を丈夫にしたり、骨粗しょう症の予防に効果的である。
 C 更年期障害を軽減させる。
 D 肥満予防効果があり、ダイエット効果を高める。
 これに関連して、厚生労働省より認可された”コレステロールを低下させる”特定保健用食品(特保)がいくつか発売されている。また、1999年アメリカFDA(食品医薬品局)が、1食あたり6.25gの大豆たん白を含む食品に対し,”心疾患のリスクを軽減する”旨のヘルスクレーム(健康表示)を認可した。近年、これらのことから大豆食品の市場は世界的に急速に拡大している。
釘宮 渉 氏
3.不二製油轄纉工場見学
 




懇親会    

 

連絡先 三宅製粉梶@(〒544‐0034 大阪市生野区桃谷3−2−5)
関西穀物科学研究会事務局 林 孝治(Tel 06−6731−0095、Fax 06−6731−0094
E‐mai:miyake@mbox.inet-osaka.or.jp)   
TOPに戻る
HOMEに戻る